調所は悪人どころか明治維新の恩人

　出典：篤姫を生んだ鹿児島こそ
　　　　スメル八千年帝国の理想郷だった
　　　『言語復原史学会：加治木義博』
　　　　KKロングセラーズ
　　　　２５０～２５１頁

　「１３章　篤姫を生んだ血と歴史と環境」

　《調所は悪人どころか明治維新の恩人》
　「調所は悪人どころか明治維新の恩人」


　調所笑左衛門が密貿易をしたのは、まぎれもない事実で、

　それでなければ篤姫の結婚も、斉彬の活躍もないから、

　明治維新もなく、西郷らの登場もあり得なかったことを考えると、

　徳川政権の決めた鎖国令に背いたというだけの「犯人」である彼を、

　悪人扱いする人は、余りにも無知な考えだというほかない。

　しかも彼は「罪を着て死ぬ役」だったのだから。

　彼の活躍について、もう少し付け加えておこう。

　彼は当時、奄美、琉球で行なわれた島役人による

　厳しい取り締まりの「砂糖地獄」という名で知られる、

　圧政の元凶とされているが、

　それは彼の茶坊主という本業の知恵から始まった。

　お茶うけには甘いものが最高とされた時代。

　当時の我が国には白砂糖はまだなく、

　薩摩の黒糖は宝石なみの高級品だった。

　それが亜熱帯気候の奄美と沖縄では砂糖黍がよく育つ。

　それを絞って黒糖にして売れば儲かることは、誰でも思いつく。

　黍は畑で育てるから野晒し、宝物のように隠してはおけない。

　盗まれるのは当然で子供でも折って食べる。

　それを放任すれば横流しする農民も出る。

　藩の責任者としては厳しい法を作って犯罪者を処罰するのは当然で、

　「見せしめ」として子供まで捕えて処罰したのは

　当時の常識的行為だった。

　藩の運命がかかっているという必死の思いで

　執行した役人を非難するのは酷だ。

　しかし調所はそれも込めて一切の責任を一身に負って自決したのである。

　それを「悪人」としか扱わないことは、余りにも幼稚というほかない。

　彼が身を捨てて庇った藩はその資金を使って幕府を倒し、

　明治維新を成功させて我が国の近代化を促進した。

　その恩恵に浴している私たち現代日本人は、

　それに一命をささげてくれた

　笑左衛門に深く感謝しなければいけない。


　《スメル(シュメール)文明》
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